寝つきの悪さと中途覚醒が軽減
鍼灸ひののき院長の日野です。
寝つきの悪さと中途覚醒が軽減した事例をご紹介します。
■来院された方:一宮市在住、50代女性、デスクワーク
■主な症状:寝つきの悪さと中途覚醒
〇来院までの経緯
2024年11月頃から睡眠の質が悪くなる。心療内科でお薬を処方され服薬すると眠れるが、なるべくお薬は飲みたくないので、鍼灸を試してみたいと2025年1月に来院された。
〇初回来院時の主な悩み
・不眠(寝つきの悪さと中途覚醒)
〇その他付随する症状
・便秘
・肩こり
〇現病歴
なし
〇鍼灸ひののきの見立て
2025年の新年度から役職が変わり、責任が重くなるとのこと。初めての経験にプレッシャーを感じ、うまくできるか思考がグルグルとめぐる状態でした。
東洋医学では、気や血のめぐりが滞ると睡眠の質も悪くなると考えます。この方はお仕事への不安・プレッシャーから気のめぐりが悪くなったようです。そして、気のめぐりが悪くなると血のめぐりも滞りやすくなるので、肩こりや便秘といった症状も出やすくなります。
当院では、不眠であっても「内臓の働きやバランス」がどうなっているのかを意識して施術します。
睡眠ととくに関係が深い内臓は、「肝」と「腎」です。
肝は、目や筋、気の流れとも関係があります。デスクワークで目を酷使しているので、それだけでも肝に負担がかかっていたのかもしれません。
プレッシャーで気が張っていたので、まさに気のめぐりが滞っている状態と考えられます。
腎はリラックスとも関係するので、腎がしっかりすると緊張が緩んで睡眠の質の向上が期待できます。
さらに、腎が元気になると肝も元気になるという関係性があります。
(※内臓については、施術についてを参考にしてください。)
〇鍼灸施術の方針
上記から
「肝と腎の働きを整える」
鍼灸施術は一週間に2回のペースで始めました。
〇施術経過
・1回目
腹診では、右側の肋骨の下やおへその下部に硬さがあり、「肝」の反応が感じられた。
脈は強くうち、軽く触れただけでも拍動を感じる脈だった。
これらのことから、お身体はリラックスできていない状態、自律神経では交感神経が優位になっている状態と推測できる。
仰向けで、手足にあるツボに接触鍼(せっしょくしん…鍼を刺さずにツボに触れる手技)。「太渓-たいけい…腎と関係するツボ」など。
うつ伏せになってもらい、背中とふくらはぎに施術。
薬膳の観点からの食材や生活習慣のアドバイスも伝えた。
・2~3回目
睡眠は変わらないが、肩こりと便秘が減ったとのこと。
前回後にだるさも出なかったので、刺激量を増やす。
お灸と「太衝-たいしょう」肝と関係する経穴(いわゆるツボ)を追加。
寝付けないと動画を観るとのことだったので、眠れなくても目を休めるよう伝えた。
・4~5回目
服薬をしない日でも寝つきがよい日があった(服薬の調整は主治医の承諾済み)。
肩こりと便秘はすっかり無くなったとのこと。
・6回目
引き続き服薬しなくても眠れる日が出てきた(毎日ではない)。
寝違いのような首の痛みがあるとのことで、首への鍼灸を追加。
施術のペースを1週間に1回にする。
・7回目
寝付けなかったり中途覚醒が1日だけあった。お薬は半錠に減らしても良いと医師から言われた。
・8回目
寝つきが良くなり朝まで眠れる(トイレに1回起きる程度)。
・9回目
仕事の都合もあり、2週に1回のペースで施術することに。
服薬しなくても寝つきが良く、朝まで眠れている。
・10回目~
2週に1回のペースで施術を継続。
睡眠に関する不安がほぼ無くなり、「眠れる」という自信が出てきた様子。
新しい役職に就いて状態がどうなるか、様子を見ながら施術の間隔を空けることを検討中。
〇院長から
この方は、比較的早く不眠がよくなったケースです。
ご本人に「よくなりたい」という強い意志があったことや健康への意識が高かったこと、お伝えしたアドバイスを真摯に取り組んだこと、などが相乗効果を生んだように思います。
服薬は早く止めたいという希望がありましたが、勝手に止めてしまうのではなく、主治医の意見も聞きながら減薬をしていったので、その点も安心でした。
鍼灸を受ける前にすでにお薬を飲んでいる方は、いきなり止めようとせず、まずは減薬を目指すのが良いと思います。そして、そこから少しずつお薬を飲まなくても寝れる日を増やしていく、という感じです。
不眠になると「今日は眠れるかな…」とお布団に入るのが、恐怖になったり不安を感じたりするものです。一日でも眠れる日があったら、眠れたことに意識を向けて自信にしていただくと、少しずつ不安も軽減していきます。
鍼灸によって、気・血のめぐりがよくなっていくと、不安感も減っていきますよ。
不眠は人によっては、改善までに時間がかかることもあります。
「焦らず、あきらめず」コツコツお身体を整えていくと、きっと安眠できる日が来ると信じています。
※一事例であり、すべての方に効果を保証するものではありません。
不眠にお悩みの方はこちらも参照してください。