のどの詰まり感がなくなった!
鍼灸ひののき院長の日野です。
のどの詰まり感がなくなった事例をご紹介します。
■来院された方:一宮市在住、20代女性
■主な症状:のどの詰まり感
〇来院までの経緯
1ヵ月ほど前からのどの詰まり感があり、食事が入っていかない感じがあった。処方された薬を飲んでいたが、あまり改善しないので来院された。
〇初回来院時の主な悩み
・のどの詰まり感
・吐き気(ときどき)
・胸の痛み
〇その他付随する症状
・寝つきが悪い
・頻尿
・頭痛
〇現病歴
なし
〇鍼灸ひののきの見立て
のどに器質的な問題がないのに、つまりや違和感を感じる場合、精神的なストレスが関係していることがあります。
この方は、仕事の昇進試験が控えていたこともあり、それが精神的なストレスとなっていたようです。
精神的なストレスは気のめぐりを滞らせ、それがのどの詰まり感として現れます。
胸の痛みはお風呂に入るとラクになるとのことで、このことからも気のめぐりが悪いことが推測されます。
東洋医学では、心身の不調は「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。
気のめぐりと主に関係するのは「肝」です。
寝つきの悪さも肝が関係しています。
ほかにも肝が関係するものには、筋肉、目、爪、気のめぐり、胆などがあります。
(※内臓については、施術についてを参考にしてください。)
お仕事でパソコン作業が多いこと、就寝するときもスマホを視聴する習慣があることから、目の負担から肝の働きにも影響が出たのでしょう。加えて、昇進試験へのプレッシャーから今回の症状が出たと考えられます(肝臓病というわけではありません)。
また、内臓と連絡する道路(経絡といいます)が体中を駆け巡っていると東洋医学は考えます。
その道路の中には、気・血が流れています(エネルギーや栄養と思ってください)。その要所要所に経穴(いわゆるツボ)があるのです。
ですから、ツボへの鍼灸刺激はその道路を通って内臓まで伝わっていき、内臓の働きを整えていくのです。
この方の頭痛は後頭部と側頭部に出ていました。この辺りは、膀胱や胆といった内臓と関係する経絡が流れています。胆と関係が深い内臓は肝で、膀胱は腎と深い関係にあります。
腎は排尿とも関係するので、頻尿や後頭部の頭痛から腎へもアプローチする必要があると考えます。
〇鍼灸施術の方針
上記から
「肝と腎の働きを整える」
ことで気のめぐりを促進し、リラックスできる状態をつくれるように、鍼灸をすすめました。
施術のペースは一週間に2回から始めました。
〇施術経過
・1回目
腹診では瘀血(おけつ…血のめぐりが悪い状態)が感じられ、肝の反応が現れる部位が硬かった。
胸鎖乳突筋も硬く、背中の一部が盛り上がっており、交感神経が優位な状態であると考えられる。
仰向けで、手足にあるツボに接触鍼(せっしょくしん…鍼を刺さずにツボに触れる手技)。
うつ伏せになってもらい、「腎兪-じんゆ」と「肝兪-かんゆ」という腎・肝と関係が深いツボと、ふくらはぎに施術。
最後にもう一度仰向けで、お腹にあるツボ「関元-かんげん」と気が滞っている部位にさするようなソフトな鍼をして様子をみる。
・2回目
症状は変わらず。
前回施術後、だるさが出なかったため刺激量を増やす。
気をめぐらす目的で、お灸を追加した。
・3、4回目
頭痛と寝つきの悪さが無くなった。
生活習慣の改善として、就寝前のスマホを控えてもらい23時台には就寝してもらうことを、しっかり実践してくださったのが大きい。
・5回目
のどの詰まりが無い日も出てきた。
鍼灸は週に1回のペースへ。
・6、7回目
のどの詰まり感は気にならない日の方が多いとのこと。
施術ペースを10日に1回へ。
・8日目
のどの詰まり感と違和感が戻ってきた。
ストレスになることがあったとのこと。また就寝時間が0時を過ぎたり、スマホを観るようになっているとのことだったので、生活習慣を再度見直してもらう。
・9回目
のどの詰まりが軽減。次回3週後に。
・10回目、11回目
のどの詰まりはほぼ気にならず、食事も通る。
2回とも3~4週ほど鍼灸の間隔をあけたが不調にならず。本人の希望もあり、ここで一旦終了となった。
〇院長から
主症状よりも頭痛や寝つきが先に改善されました。
夜のスマホの視聴を減らしたり、早く就寝するなどの生活習慣の改善に取り組んだことは大きかったです。睡眠の質が変わってくると、体調も変化しやすくなります。
その結果、徐々にのどの詰まりも減り、気にならずに生活を送れるようになりました。
鍼灸だけでなく生活習慣の見直しは不可欠ですが、一人で取り組んでいるとだんだんやらなくなってきて、また前の習慣に戻っていくことが多いです。そのためにも対話を重ねて現状を共に把握し、時に軌道修正しながら一緒に取り組んでいくことが大切だと思っています。
のどの詰まりや不眠などがあっても、そこから回復した経験は自信につながります。
もしまた不調になったとしても「前も乗り越えられた。今回も大丈夫!」と捉えることができます。
そして、鍼灸でそのサポートができたらうれしいですね。