過呼吸と動悸が落ち着いた!
鍼灸ひののき院長の日野です。
過呼吸と動悸に悩む女性の事例をご紹介します。
■来院された方:一宮市在住、40代女性
■主な症状:動悸、過呼吸
〇来院までの経緯
1ヵ月ほど前に仕事中、突然呼吸が苦しくなり、動悸やのどの閉そく感が出て「死なないとは分かっているけど、このまま死んじゃうんじゃ…」と不安が強くなった。心療内科で漢方薬を処方され飲んでいるが、もう少し良くなりたいと来院された。
〇初回来院時の主な悩み
・過呼吸
・動悸
・不眠
〇その他付随する症状
・不安感
・耳鳴り
・頻尿
・軟便
・重だるい
〇現病歴
副鼻腔炎
〇鍼灸ひののきの見立て
症状が起こる直接の原因はないとのことでしたが、引っ越しなど環境の変化があったので日々の負担の蓄積と併せて症状が出たのかもしれません。
東洋医学では、心身の不調は「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。
副鼻腔炎や重だるさ、軟便があること、気圧の変化で体調が悪くなるとのことだったので、水のめぐりが悪いことが考えられます。
とくに体の水と関係する内臓は「腎」と「脾・胃」です。
慢性的な副鼻腔炎は「脾・胃」が関係していることが多いので、食生活で負担をかけていたのかもしれません。
動悸は内臓の「心」が関係していますが、その背景には「腎」の弱りが影響していることがあります。
耳鳴りや不眠、頻尿があるので、腎をしっかりさせることによって動悸も軽減すると考えられます。
(※内臓については、施術についてを参考にしてください。)
〇鍼灸施術の方針
上記から
「腎と脾の働きを整える」
施術は一週間に2回のペースで始めました。
〇施術経過
・1回目
腹診では、胃の反応が現れる部位が硬かった。脈は腎の弱りを表していたので、やはり腎と脾・胃をしっかりさせる必要がある。
仰向けで、手足にあるツボに接触鍼(せっしょくしん…鍼を刺さずにツボに触れる手技)。「陰陵泉…脾と関係するツボ」「復溜…腎と関係するツボ」など。
うつ伏せになってもらい、「腎兪-じんゆ」とふくらはぎに施術。
最後にもう一度仰向けで、お腹にあるツボ「関元-かんげん」に施術して様子を見る。
・2回目
少し動悸が減った、食欲が出た、とのこと。
前回施術後、だるさが出なかったため刺激量を増やす。
お腹へのお灸を追加し、お家でもお灸をしてもらうようアドバイスした。
・3回目
動悸、のどの閉そく感、耳鳴りが無かった。
日常でのストレスや悩みなどを少しずつお話ししてくれた。体の不調が減ったので、ご自身のことを見つめる余裕が出てきたように感じた。
・4回目
過呼吸が出たが長続きしなかった。睡眠の質が少し良くなった。
・5回目
動悸は出ていないが、出たらどうしようと予期不安がある。
睡眠の質も保たれている。
施術ペースを一週間に1回へ。
・6回目
動悸、過呼吸なかった。
他県までドライブを楽しめたと報告してくれた(こういう報告はとてもうれしいです)。
生活が楽しめるようになると、身体も良い方向に向かってくれます。
・7回目
不慣れな仕事をしてから発熱し、体調を崩す。動悸や不眠があった。
このように、症状の変化は右肩上がりにどんどん良くなるよりも、いろんな影響を受け上がったり下がったりするものです。
・8~10回目
軟便が9割がた無くなった。朝まで眠れる。
・11回目~
2週に1回のペースで施術。
時に寝付けない日がある程度で、動悸や過呼吸は出ていない。便通も問題ないとのことで、これからは悪くならないように、メンテナンス目的の施術を継続。
〇院長から
施術3回目で動悸や耳鳴りが軽減してきたのは、早い方だと思います。この方は漢方薬を信頼していたので、鍼灸との併用で相乗効果があったのだろうと推測しています。
時に症状の波がありながらも、ご本人が気落ちすることなくコツコツと継続して通院してくださったのが、大きかったです。生活習慣も見直して、アドバイスしたことをすぐ実践される姿勢に頭が下がる思いでした。
お家で実践していただいたのは、
・お灸
・散歩など軽く体を動かす
・スマホの視聴を減らす
・食事内容を見直す
などです。
鍼灸や漢方薬だけでなく、お身体のバランスを崩さないような生活習慣を実践することが、症状の軽減と再発予防につながります。
お身体の状態は常に一定ではなく、環境や感情、イヤな出来事などいろんな要因によって変わります。
当院では、施術前の対話とお腹や脈の状態などから、毎回お身体を把握してから施術を行います。症状だけで施術するツボを決めるようなやり方はいたしません。
アドバイスすることも状況によって変化します。テレビやインターネットの情報をそのまま実践して体調を崩す方がいらっしゃるのは、そのためです。