食欲が出てきて下痢もなくなった
鍼灸ひののき院長の日野です。
食欲不振と下痢に悩まされた女性の事例をご紹介します。
■来院された方:一宮市在住、20代女性
■主な症状:食欲不振、下痢
〇来院までの経緯
2ヵ月ほど前から職場の人間関係がストレスで、さまざまな不調を感じていた。1ヵ月ほど経過して症状がひどくなり、食事がこわくなったり朝から動悸がするようになって来院された。
〇初回来院時の主な悩み
・食欲不振
・下痢
・不眠
〇その他付随する症状
・立ちくらみ
・頭痛
・不安感
・動悸
・重だるい
・生理時の不調
〇現病歴
なし
〇鍼灸ひののきの見立て
職場のストレス要因の上位に挙がるのが、人間関係です。この方は、きつく当たられたり無視されたりして、強いストレスを感じていたのですが、一所懸命にがんばってきました。
がんばろう、がんばろうとしていたのですが、身体は悲鳴を上げているようです。その結果が、上記のさまざまな不調です。とくに起床時の不調が強いようなので、よっぽど出社がストレスだったように思います。
東洋医学では、心身の不調は「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。
人間関係のストレスから、気のめぐりが悪くなっているようです。気のめぐりが滞るとさまざまな不調が出ますが、その一つ一つの症状だけに目を向けてアプローチしてもなかなか良くはなりません。
根本にある気のめぐりと、それに関係する内臓の働きをしっかりさせてあげることが大切です。
とくに関係する内臓は「肝」です。
肝は子宮とも関係が深いので、生理時の不調は肝の問題かもしれません。
緊張して気が張っている状態なので、リラックスできていません。リラックスできないと胃腸も働いてくれないので、食欲不振や下痢といった症状がでやすくなりますし、不眠にもなります。
リラックスして気がきちんとめぐるように、「肝」にくわえて「腎」にもアプローチしていく必要があります。
(※内臓については、施術についてを参考にしてください。)
〇鍼灸施術の方針
上記から
「肝と腎の働きを整える」
施術は一週間に2回のペースで始めました。
〇施術経過
・1回目
腹診では、ほぼ全ての部位で反応がみられた。脈も力がなく腎の弱りを表していたので、相当ムリしてがんばってきたんだと推測できる。
仰向けで、手足にあるツボに接触鍼(せっしょくしん…鍼を刺さずにツボに触れる手技)。「太衝…肝と関係するツボ」「照海…腎と関係するツボ」など。
うつ伏せになってもらい、「腎兪-じんゆ」とふくらはぎに施術。
最後にもう一度仰向けで、お腹にあるツボ「関元-かんげん」に施術して終了。
鍼灸は初めてとのことだったので、刺激量は少なめで様子をみることにした。
・2回目
立ちくらみと下痢が軽減した、とのこと。途中で目が覚めることもなかった。
前回の施術に「公孫-こうそん」という脾と関係するツボを追加。
薬膳の観点からの食材や生活習慣のアドバイスをした。
・3回目
食欲が出てきて下痢も減っている。ただ寝つきが悪い。
緊張状態が持続しているようなので、お灸を追加。お家でもお灸を実践していただく。
・4回目
寝つきが良くなった(お家でのお灸を忘れるくらい睡眠のことが気にならなかった)。
お家でのケアができなかったのはよろしくはないが、不眠を忘れていられることはとても良い兆候。
施術ペースを1回/週に空ける。
・5回目
睡眠の質は保たれている。
動悸や頭痛等、出社時の不調も軽減。
次回から10日に1回のペースを試す。
・6回目
昨日から強い頭痛。軟便ぎみ。
人間関係で上手くいかないことがあり、頭がいっぱいいっぱいとのこと。
施術前の対話の時間をしっかり取って、気持ちを吐き出してもらう。
施術ペースを1回/週に。
・7~9回目
中途覚醒、立ちくらみなどが出てきた。腹痛と下痢もあるが、食欲はある。
足先に冷えがあるので、気がめぐるように鍼灸をする。
・10~12回目
睡眠の質が改善。休日に友人と会ったり、好きな動画を観たりして気分転換ができている。
食欲があり、下痢もない。「メンタル的に強くなった気がする」とおっしゃっていた。
・13回目~
2週に1回のペースで施術を継続中。
自分の身体の状態を把握できるようになり、休日の過ごし方やセルフケアで大きく落ちる前に対処ができている。
〇院長から
初回はかなりエネルギーが低下した状態でした。一回目の施術の後、不調が軽減したこともあり希望を持てたことが、その後のモチベーションにつながりました。
数回の施術で良い状態になりつつありましたが、再度のトラブルから不調が再燃しました。
身体のケガとは異なり、外的要因によって体調も左右しがちです。外的要因を変えることは難しいので、自分の捉え方・考え方を変えていけると心身ともにラクになります。この方は、少しずつシフトしようと努力していることが感じられました。
自分を変えようと努力するには、とてもエネルギーがいります。
鍼灸と対話とによってココロとカラダをケアすることで、エネルギーが高まるよう、これからもサポートを続けていきます。