冷えると強くなる腰痛と肩の痛みが軽減した症例
鍼灸ひののき院長の日野です。
今回は、腰痛と右肩痛に悩む方の症例をご紹介します。
■来院された方:60代、男性
■主な症状:腰痛、右肩の痛み、便秘
〇来院までの経緯
ぎっくり腰の経験があり、冷える季節になるとコルセットが欠かせない。
とくに朝がつらく、最近コルセットを着ける頻度が増えたので、ぎっくり腰になる前に来院。
来院2日前から、右肩周りも痛いとのこと。
〇初回来院時の主な悩み
・朝起きたときに腰がヒヤッとして、ぎっくり腰になりそうで不安
・コルセットを着ける頻度が増えてきた
・土踏まずが痛くなることがある
・肩の痛み、座った姿勢から立った時に右膝に痛みが出る
・便秘がある
・肌が乾燥してかゆくなる
〇現病歴
糖尿病
〇鍼灸ひののきの見立て
糖尿病があることもあり、食事には気をつけている。
初回カウンセリング時に、自分の身体や健康への意識の高さがうかがえた。
まず根本である内臓についてみてみると、
ぎっくり腰を何度も経験していることや糖尿病、便秘などから、主として「腎・膀胱」の問題があると考える。
お話をうかがうと、足の親指の爪の変形、筋肉がつりやすい、といった症状もあり、「肝」の働きの問題も視野に入れる。
土踏まず辺りには、脾・肝・腎の経絡が通っている。
関節と脾は関係が深いため、肩や膝の痛みを関節として捉えると、脾も関係している。
(※経絡については、施術についてをご覧ください。)
また、陰陽の概念で捉えてみると、腎と肝は五臓の中で「陰」に分類されるため、陰の働きに問題があると考えられる。
筋肉がつりやすい、便秘、肌の乾燥・かゆみといった症状は陰がしっかりしていないことが関係する。
(※陰と陽についてはこちらを参考にしてください。)
〇施術方針
上記をまとめると
・身体のバランス:陽>陰
・主に関係する内臓:腎・肝・脾(厳密には他の臓も関係する)
陰が弱いので、「陰をしっかりさせ余剰な陽を落ち着かせる」
ことが大きな目標である。
そのために、腎、肝を補い、膀胱、胆、胃の熱をさばく鍼をしていく。
生活習慣では、
小麦や甘いものをつい食べてしまう、ということだったので、空腹時に摂らないようにすること。
テレビを観ながら寝る習慣があったので、まずはテレビを消してから寝るようにすること。
を実践していただいた。
〇施術経過
・1~2回目
1週間に一度のペースで通院してもらう。
初回の施術後に肩の痛みが強くなり、徐々に落ち着いたとのこと。
2回目来院時の朝、右肩がまた痛くなった。
腰痛と土踏まずの痛みは軽減。
・3回目
右肩と右膝の痛みが軽減した。
腰痛は日によって出る事がある。
便通はほぼ毎日ある。
・4回目
ふくらはぎがつったり、土踏まずに痛みがあった。
窓を開けたまま就寝し、寒くて起きることがあった。
外食の機会が多く、パスタや味の濃い食事が多かった、とのこと。
今回の筋肉のつりや痛みは、冷えや食事の質も影響していると考えられる。
・5~7回目
土踏まずや肩、膝の痛みはない。
週に1回と2週に1回の通院を交互にする。
2週に1回の鍼灸施術でも、腰痛を感じるのは1日程度。
当初の症状は、全体的に軽減傾向にある。
次回から2週に1回のペースで様子をみる。
〇院長から
日により症状の波を感じながら、徐々に軽減していった。
食事など生活が乱れると不調になりやすいことが、ご自身で実感されたので、生活習慣の改善に前向きになれたことが後押しとなった。
根本である内臓がしっかりし始めてきた段階で、ここから良い状態を定着させる段階となる。
引き続き、お互いのコミュニケーションを大切にして、大きく崩れないようにサポートをしていく。
◆追記◆
・8回目
2週に1回のペースでも体調の乱れはなく、安定している。
お仕事のこともあり、1か月に1回の鍼灸を検討する。間隔を空けるには少し早いが、生活習慣の改善に取り組めていること、健康への意識が高いことからテスト的に実施してみる。
・9~10回目
症状安定している。腰痛や膝痛を感じることはない。
調子を崩さないよう、1か月に1回のメンテナンスに移行する。
腰痛にお悩みの方はこちらのページを。
肩の痛みにお悩みの方はこちらのページを参考にしてください。
鍼灸の考え方なども記載しております。