動悸が消失した女性
鍼灸ひののき院長の日野です。
動悸にお困りの女性の事例をご紹介します。
■来院された方:岐阜市在住、40代女性
■主な症状:動悸
〇来院までの経緯
1年前から動悸が気になっていたが、心電図では異常が無く薬も不要と医師に言われ、鍼灸を試そうと来院された。
〇初回来院時の主な悩み
・動悸
・のどの詰まり感
〇その他付随する症状
・肩のこりと痛み
・頭痛
・足の冷え
・生理前の不調
・疲労感
〇現病歴
なし
〇鍼灸ひののきの見立て
動悸が気になる場合、まず心臓の疾患を考えなければいけません。こわい病気が潜んでいるかもしれないので、医師に相談することをまず優先しましょう。
この方は、心電図も異状なく心臓には問題ないと言われているので、当院で鍼灸施術をすることになりました。
動悸は、安静にしていたりリラックスしているときに拍動が気になる状態です。本来なら、拍動は穏やかでないといけないのに、そうではないので気になってしまいます。
つまり、安静、リラックス→穏やかのはずが、激しい拍動=活発な状態になっているというあべこべな状態といえます。身体を穏やかな方にスイッチングすることが、うまくできていないようです。
東洋医学では、心身の不調は「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。
穏やかにリラックスできる状態をつくるのは、内臓の「腎」が主に関係します。
腎が関係するものには、腰、耳、睡眠、水分代謝、子宮などがあります。
この方は、のどの詰まり感も気になっています。ストレスなどから気のめぐりが悪くなると、のどの詰まり感が出やすくなります(東洋医学では梅核気といいます)。
この気のめぐりと関係が深い内臓は「肝」。
肝が関係するものには、筋肉、目、子宮、膝などがあります。
(※内臓については、施術についてを参考にしてください。)
パソコン作業が多い仕事なので、目の負担はあるでしょう。肩こりや生理の不調もあるので、「肝」の働きの問題が考えられます(肝臓病や腎臓病というわけではありません)。
仕事と育児、家事で心身の疲労とストレスは大きいようです。
〇鍼灸施術の方針
上記から
「腎と肝の働きを整える」
ことで気のめぐりを促進し、身体をリラックス状態にスイッチングできるように施術をすすめていきました。
施術のペースは一週間に一回です。
〇施術経過
・1回目
腹診では瘀血(おけつ…血のめぐりが悪い状態)、交感神経の過緊張が感じられた。
脈では腎の弱さが感じられたので、やはり腎をしっかりさせる必要がある。
仰向けで、手足にあるツボに接触鍼(せっしょくしん…鍼を刺さずにツボに触れる手技)。
うつ伏せになってもらい、「腎兪-じんゆ」という腎と関係が深いツボ、ふくらはぎと首まわりに施術。
最後にもう一度仰向けで、お腹にあるツボ「関元-かんげん」と足にある「太渓-たいけい」に鍼をして様子をみる。
・2回目
前回後、頭痛とのどの詰まり感、肩こりが無かった。よく眠れたとのこと。
動悸、疲労感はある。
前回施術後、だるさが出なかったため刺激量を増やす。
・3、4回目
動悸と疲労感が無くなった。
・5回目
動悸、疲労感が増えた。
子どもが長期休みに入り、育児と仕事が大変なことも影響しているようだ。
気のめぐりを促進するため、お腹へのお灸を追加。
セルフケアとして、お家でもお灸をしてもらうことにした。
・6、7回目~
動悸、のどの詰まり感は気にならなくなった。
肩こりの方が気になるとのこと。施術ペースを2週間に1回へ。
〇院長から
まだ生理前の不調や肩こりがあるので、「肝と腎」をしっかりさせることを継続している最中ですが、動悸や疲労感、のどの詰まり感などの不調は比較的早期に解消しました。
大きな要因として、身体をよくするために積極的に生活習慣の見直しに取り組まれたことが挙げられます。
もともと健康への意識は高く、夜のスマホ視聴を減らす、規則正しい食事をする、21時には布団に入る、ことを実践されていました。
①目の負担を減らすこと
②食事
③睡眠
は健康には重要な要素です。
鍼灸と生活習慣がかみ合っていくと、身体が変化しやすいです。女性の方はとくに仕事、家事、育児とやることがたくさんで、自分の身体に意識を向ける余裕がありません。
でも、仕事も子育ても自分のプライベートも充実させるには、心身の健康が不可欠です。
現在は、肩こり解消のためにストレッチを自宅で実践されています。
これからの変化が楽しみです。