不安と緊張感が軽減した女性の事例

鍼灸ひののき院長の日野です。
不安と緊張感が軽減した事例をご紹介します。
■来院された方:一宮市在住、50代女性、主婦
■主な症状:不安感と緊張感
〇来院までの経緯
人間関係の悩みから来院4か月前から不安感と緊張感が出始める。心療内科でお薬を処方され服薬していたが、中断。お守り代わりにお薬は持っているとのこと。
2か月前から不安感が強くなり、来院された。
〇初回来院時の主な悩み
・つねにある不安感と緊張感
・頭の中を思考がグルグルめぐる
〇その他付随する症状
・耳鳴り
・中途覚醒
・食欲不振
・肩や背中がこる
〇現病歴
なし
〇既往歴
・子宮筋腫
・腰部脊柱管狭窄症
〇鍼灸ひののきの見立て
来院時はソワソワと落ち着かない様子で、話し始めたらこれまでの経緯を一気に話されました。
これまでの数ヵ月、必死に耐えてきたのでしょう。
東洋医学では、気や血がきちんとめぐっていることが健康には大切だと考えます。
この方は、つらい状態をグッと我慢してきて肩や背中もこっています。これは気が滞っている状態です。気が滞ると、血もめぐりにくくなります。血は精神の安定や睡眠とも関係するので、血がきちんとめぐらないと、睡眠の質の低下やメンタルの不調を引き起こしてしまいます。
当院の施術は、「内臓の働きやバランス」がどうなっているのかを意識して鍼灸をします。
気のめぐりと特に関係が深い内臓は「肝」です。肝は筋肉とも関係が深いので、肩や背中のコリといった症状も肝の働きの不調が影響します。筋腫は筋肉の問題なので、これも肝が関係しています。
「腎」という内臓は、睡眠やリラックスと関係するので、腎の不調もありそうです。からだの部位では、耳や腰、骨とも関係が深いと捉えますので、耳鳴り、腰部脊柱管狭窄症は腎の不調が関係しているとみます。
(※内臓については、施術についてを参考にしてください。)
〇鍼灸施術の方針
上記から
「肝と腎の働きを整える」
鍼灸施術は一週間に2回のペースで始めました。
〇施術経過
・1回目
お腹を軽く押していくと、どこを押しても不快感がある。脈もやや速く打つ感じだった。
まさに緊張している状態、自律神経では交感神経が優位になっていると推測できる。
仰向けで、手足にあるツボに接触鍼(せっしょくしん…鍼を刺さずにツボに触れる手技)。
腎と関係する経穴(いわゆるツボ)の「太渓-たいけい」、肝と関係するツボ「太衝-たいしょう」など。
うつ伏せになってもらい、背中とふくらはぎに施術。
薬膳の観点からの食材や生活習慣のアドバイスも伝えた。
・2回目
気分転換にハイキングに行って楽しかったとのこと。
身体を動かすことは、気・血をめぐらすことにもつながるので、とってもいいことです。
来院日の朝に、また過去のことが頭をめぐり不安感が強くなって、食欲も無かった。
前回と同様の施術に、睡眠と関係するツボ「失眠」を追加。
・3~4回目
朝が一番気が重く、食欲が湧かないとのこと。
瘀血(おけつ)という血のめぐりの悪さの反応が出ていたので、その処置も加える。
・5回目
少し気持ちがラクになってきて、朝食も食べられるとのこと。来院時の表情が明るかった。
施術のペースを1週間に1回にする。
・6回目
不安感が減り、気持ちが安定している、と。食欲もある。
・7回目
別件で心配事が発生し、そこから不安感や深く息が吸えない。食欲も落ちた。
耳鳴りはあるが、聴力が上がったように感じるとのこと。
・8回目~
不安感や緊張もなく、食欲も戻った。
施術を10日に1回のペースにする。
〇院長から
もともと心配性で、せっかちなところがあるとおっしゃっていました。
東洋医学的には、気のめぐりの問題がそういった性分と関係しています(絶対ではありませんが)。
不調が続くとどうしてもネガティブな側面ばかりに意識がいきがちなので、不安がなかった日、なかった時間、などよかった側面に意識を向けてもらえるよう心掛けました。
印象的だったのは5回目の来院時の表情が明るかったこと。ご自身で何か不調のトンネルを抜けるきっかけを見つけられたのでしょう。気のめぐりが良くなると、なかなか抜けられなかった現状から、フッと抜けられるタイミングが来ます。そうなると鍼灸の効果もより高まるので、体調が良いと感じることが増えていきます。
7回目のときに一時的に不調になりましたが、すぐに回復。一度良くなった経験をすると、それが自信になり回復も早いと感じます。
まだ中途覚醒があるので継続的な鍼灸施術は必要ですが、ご本人は不安感や緊張も無くなり、食欲もあるので、睡眠に関しても期待感を持っていらっしゃる様子。きっと変化があると僕も信じています。
※一事例であり、すべての方に効果を保証するものではありません。
不安感にお悩みの方はこちらも参照してください。