おしりとふくらはぎの痛み(坐骨神経痛)
羽島市在住、40代男性の事例です。
数週間前から、右のおしりの痛みと太ももの裏からふくらはぎにかけての、鈍痛のような何とも言えないイヤな症状がありました。
お話しをうかがうと、
・腰痛持ち
・お酒が好き
・パソコン作業が多い
・じんま疹が出る
という背景がありました。
おしりや太もも、ふくらはぎなどの症状は「坐骨神経痛」に似ていますね。
では、東洋医学的に考えてみます。
鍼灸の考え方のベースには、「陰陽論」があります。
簡単に分類すると
陽…熱、火、上、昼、動
陰…寒、水、下、夜、静
などです。詳細はこちらを参考にしてください。
お酒を飲むと陽気になったり顔が赤くなったりしますよね?これは、「陽」の要素が強いためです。
この方はお酒をよく飲まれるので、身体のバランスは陽に傾いています。
パソコン作業は、目に光刺激が加わります。
光刺激は、神経をたかぶらせます。この状態は「静」ではないので、陽ですね。
また、じんま疹などかゆみは、陽の症状と考えられています。
この方は、飲酒やパソコン作業などで身体が陽に傾いていたので、じんま疹という陽の症状が出たと考えられます。
次に内臓からみていきます。
東洋医学では、さまざまな症状の根本原因は「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。
五臓六腑が内臓に該当しますが、とくに「肝・心・脾・肺・腎」の五臓が重要です。
また、各内臓には経絡(けいらく)という、エネルギーや栄養の通り道がつながっています。
当院の鍼灸施術もこのような考え方に基づいていますので、内臓や経絡ってなに?という方は、「施術について」をご覧ください。
五臓には、それぞれ関係の深い身体の部位があります。
腎-膀胱、腰、骨、歯、髪
肝-胆、筋、膝、目、子宮、爪
などです。
この方は、もともと腰痛持ちです。
「腰」と関係が深い内臓は、腎と膀胱ですね。
腎は「陰中の陰」と表現されるように、陰の要素が強い臓です。
この方の身体の状態は、陽に傾いていましたので、相対的に陰が弱いと考えられます。
陰が弱いということを内臓にあてはめると、
腎(と膀胱)の働きの問題
と捉えることができます。
さらに、膀胱の経絡はおしりや太ももの裏、ふくらはぎを通っていきますので、この方の症状が出ている部位が当てはまります。
このことからも膀胱(と腎)の問題、と考えることができます。
※膀胱の経絡との関係は、「坐骨神経痛」のページに詳しく書いてあります。
また、おしりや腰、脚の「筋肉」の問題、と捉えると「肝」も関係してきます。
パソコン作業は、目の焦点がほぼモニターに固定されます。
これは、焦点を合わせる筋肉を常に固定していることになりますので、目の筋肉に負担がかかります。
パソコン作業は、肝(と胆)にも影響するわけですね。
さらに、この方はお酒を飲まれるので、そこからも「肝と胆」に負担がかかっています。
以上をまとめると、
身体のバランスは
陽>陰
内臓は
腎、膀胱、肝、胆
の働きとバランスに問題がある
と考えられます。
鍼灸施術では、
膀胱と関係するツボ…腎兪(じんゆ)、肝兪(かんゆ)、委中(いちゅう)
腎と関係するツボ…太渓(たいけい)、陰谷(いんこく)
肝と関係するツボ…太衝(たいしょう)
胆と関係するツボ…懸鍾(けんしょう)、陽陵泉(ようりょうせん)
などに鍼をして、陰陽のバランスを整えます。
(※実際は、もう少しお身体全体を把握して、他の内臓のツボにもアプローチします。)
それだけでなく、生活習慣のアドバイスとして
・飲酒を控える
・パソコン作業を小まめに中断し、身体を動かす
・ストレッチの方法
などをお伝えしました。
現在、じんま疹はまだ時々出るとのことですが、おしりやふくらはぎの痛みは無くなったと報告してくれました。
陰がさらにしっかりしてくると、じんま疹も減ってくると考えられますので、継続して鍼灸施術を受けていただいています。
羽島市でおしりや太もも、ふくらはぎが痛い、坐骨神経痛かな?とお悩みなら、一度ご相談ください。