耳鳴りが軽減した女性の事例
鍼灸ひののき院長の日野です。
耳鳴りが軽減した女性の事例をご紹介します。
■来院された方:50代女性
■主な症状:不眠、めまい、耳鳴り
〇来院までの経緯
来院6ヵ月前にメニエール病と診断され、不眠も出てきたため来院。
〇初回来院時の主な悩み
・不眠(寝つきが悪い、途中で目が覚める)
・耳鳴り
・めまい
〇その他付随する症状
・便秘
・肩こり
〇現病歴
メニエール病
〇鍼灸ひののきの見立て
・陰陽の視点から
身体の状態を、鍼灸理論のベース「陰陽論」から全体的にみてみます。
めまい、耳鳴りといった症状は、落ち着かない状態=動的な状態と捉えることができます。
これを陰と陽で分けると、陽の状態と考えられます。
(陰陽についてはこちらのブログをご覧ください)。
身体のバランスが陽>陰になっていると、頭や首、肩など身体の上部に症状が出やすいです。
睡眠は夜の時間帯に休む状態ですので、陰に分類されます。身体のバランスが陽>陰になっているため、睡眠にも支障がでてしまいます。
・内臓の視点から
東洋医学では、内臓の働きやお互いのバランスが乱れると、いろんな症状が出ると考えます。
耳と関係が深い内臓は「腎」と「心-しん」です。
心臓は常に拍動しているため、活動的。陰と陽で分類すると陽の性質が強い内臓です。
反対に陰の性質が強い内臓は「腎」。
腎は陰の性質が強いので、熱を冷ます、潤すといった働きに関係します。
職場の配置換えがあり、不慣れな仕事にストレスを感じているようなので、それも影響していると考えられます。
(※内臓については、施術についてを参考にしてください。)
・脈診、腹診から
脈診では、腎の弱りと気の上昇
腹診からは、血の巡りの悪さ、心(しん)のたかぶり
などが感じられました。
〇鍼灸施術の方針
上記をまとめると
・身体のバランス:陽>陰
・主に関係する内臓:腎、心(厳密には他の臓も関係する)
身体のバランスを整えるため、腎の働きを高めるとともに、気が上部に偏った状態を下部にもめぐるように意識して、鍼灸をしていきます。
鍼をするツボは、毎回お身体の状態をお聴きして、適宜変更しています。
〇施術経過
・1回目
健康になるために、医師からの注意事項をまじめに実践されていた。
にもかかわらず、あまり症状が改善しないために鍼灸を試そうと考え来院。
お腹にある「関元」とかかとにある「失眠」というツボにお灸をし、
「太渓」…腎と関係するツボ、「聴宮」…耳と関係するツボなどに鍼をする。
・2~10回目
睡眠の質が良くなってきた。
睡眠が気にならなくなると、耳鳴りやめまいが気になるように。
・12~16回目
耳鳴りが気にならない日も出てきた。
一日通して調子がいいと感じる日もあり、うれしいと。
週に1回の施術のペースを徐々に空けていくことを検討する。
・17~21回目
施術開始から約4ヵ月。
2週に1回のペースで施術をしていく。
この頃には問題なく眠れるようになり、耳鳴りはあるが弱くなっている。
・22回目以降
めまい・耳鳴りはあっても弱く、気にならない日の方が多い。
現在は、月に1回「健康維持」のために施術を行っている。
〇院長から
耳鳴りが完全に無くなったわけではありませんが、あっても気にならない程度まで回復したケースです。
好きだった旅行にも安心して行くことができ、喜んでいる姿がとてもうれしかったです。
耳鼻科でカフェインと甘味を控えるように言われていましたが、それに加え薬膳的な観点から摂った方がいい食材のアドバイスと、軽い運動を提案しました。
「やること」と「やらないこと」をコツコツと実践されたのが、良い結果につながったと思います。
睡眠の質がよくなったことも、耳鳴りが軽減するためには重要な要素です。
鍼灸はお身体を全体的にとらえてアプローチしていくので、耳鳴りだけでなく他の症状も併せて効果が期待できます。
症状の変化は、右肩上がりにどんどん良くなるわけではなく、良くなったり戻ったりをくり返しながら、徐々に良い時の方が多い状態になっていきます。
波があってもあきらめないことが、ポイントです。
自律神経失調症ページも参考にしてください。