なぜ、在宅ワークで不調になるのか?
新型コロナウイルスの影響で、在宅ワークをしている方が増えました。
ある調査によると、在宅ワークになって感じる不調の上位は
1.肩こり
2.腰痛
3.眼精疲労
だったそうです。
これらの不調がなぜ起こるのか?
在宅ワークではパソコン作業をすることがほとんどでしょうから、東洋医学的にPC作業との関連性をみていきます。
パソコンモニターからの光刺激は、神経をたかぶらせます。
「陰と陽」からみてみると、
神経がたかぶった状態は「陽」になります。
簡単に陰と陽を分けてみると
陽…熱、火、上、動
陰…寒、水、下、静
となります。くわしくはこちらを参考にしてください。
夜、テレビやスマホを見ていて眠気が覚めてしまった経験はありませんか?
これは、身体が陽に傾いた(活動的な方にシフトしてしまった)からなんですね。
陽に傾いた状態は、陽>陰と表現できます。
陰が少ないので、水の性質である潤す、柔軟にする、といった働きが悪くなります。
そのため筋肉が硬くなり、肩がこりやすくなったり、腰が痛くなったりするのです。
眼球を潤すこともできなくなるので、目の渇き、といった症状が出やすくなります。
他にも頭痛やめまい、耳鳴りといった症状が出ることもあります。
今度は、「内臓」の視点からもみてみます。
東洋医学では、さまざまな症状の根っこには、「内臓の働きやバランスの問題」があると考えます。
内臓の中でもとくに「五臓-肝・心・脾・肺・腎」が重要。
目に入る光刺激は、五臓の心(しん)に影響し、長時間の刺激は心に負担をかけます。
心は五臓の中でもとくに陽の要素が強く、
負担がかかると身体は陽に傾く、
という性質がありますので、このことからも身体が陽>陰になることが説明できます。
在宅ワークや子どもの休校などの環境の変化や、コロナウイルスへの不安から心身ともに大きなストレスを抱えています。
ストレスは心(しん)に影響を与えますので、さらに陽>陰にしてしまいます。
PC作業をしていると、目の焦点距離はほぼモニターや手元の資料程度となり、極端に変化することがありません。
これは、目の焦点を合わせる筋肉を常に一定にキープしている状態です。
身体の姿勢も常に一定だとしんどいですよね。これと同じで、目の筋肉を酷使していることになります。
筋肉と関係が深い五臓は「肝」です。
PC作業は、心だけでなく肝にも負担をかけるわけです。そして、肝に負担がかかれば他の筋肉にも影響が及びますので、肩こりや腰痛が出てきてもおかしくありませんね。
先ほど、心は五臓の中でも陽の要素が強いといいましたが、反対に陰の要素が強い臓は何でしょうか?
「腎」です。
つまり、身体が陽に傾くということは相対的に陰が足りない状態、これを五臓に置き換えると腎の働きが弱い状態、と捉えることができます。
腎と関係が深い身体の部位は、膀胱、腰、骨などがあります。
このことからも腎がしっかり働けないと、関係する腰に問題が出ることが考えられます。
また、身体の中には各内臓とつながっている経絡(けいらく)があると東洋医学では考えます。
腎と関係が深い膀胱の経絡は、首の後ろや背中、腰を通りますので、首の後ろや背中、腰の痛みが関係してきます。
心は小腸と関係が深く、小腸の経絡は肩甲骨や首を通りますので、肩こりと関係してきます。
※内臓や経絡については、施術についてのページに書いてありますので参考にしてください。
以上をまとめると、
身体は陽>陰の状態。
負担がかかっている内臓は、
心、と関係する小腸、肝、と関係する胆、腎、と関係する膀胱
などが挙げられます。
鍼灸施術では、余剰な陽(熱)をさばき足りない陰を補ってあげます。
内臓にあてはめて考えると、小腸や膀胱から熱を取り、肝や腎を補って陰を増やす、といった感じです。
鍼をしていくツボは
小腸…腕骨(わんこつ)
膀胱…腎兪(じんゆ)、委中(いちゅう)
胆…肩井(けんせい)、完骨(かんこつ)
肝…太衝(たいしょう)
腎…太渓(たいけい)
などがあります。
もちろん、これだけではありません。
通勤がなくなり身体を動かす機会が減ったり、つい間食することが増える、といったこともあるでしょうから、食事や睡眠など身体をトータルにみて他の内臓も考慮していきます。