手のしびれと腰痛、など複数の問題がなぜ出るのか
手指のしびれがある女性の症例です。
5月某日
手指のしびれを感じる前に、足の裏に1枚何か張り付いているような違和感を感じていました。
背中の痛みや身体の上部がほてる、ふくらはぎが張る、といった症状もありました。
また、ご家族のことで心配事があるそうです。
1週間後
手足の先までピリピリするようになり、脳外科を受診しビタミンB12などの薬を処方され、飲んでいました。
しびれ感は弱くなったが、腰痛と胸の真ん中あたりがもやもやして少し動悸がする、とのことでした。
これらの症状を東洋医学的に考えてみます。
東洋医学では、さまざまな症状の原因を「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。
「五臓六腑」が内臓ですが、なかでも「五臓-肝・心・脾・肺・腎」が重要です。
鍼灸ひののきでも、この考え方に基づいた施術をしています。
5月の症状について
・足裏の違和感
足裏は「腎」の経絡が通っており、ツボもあるところ。
足裏の違和感は、「腎」の問題と考えます。
・背中の痛み、ふくらはぎが張る
背中とふくらはぎは「膀胱」の経絡が通っており、膀胱と関係が深い五臓は「腎」です。
背中やふくらはぎの「筋肉」の問題と捉えると、五臓の「肝」も関係します。
・身体の上部がほてる
ほてりは、「陰陽」で捉えると「陽」の症状です。
身体の上部だけがほてるので、身体の陽の要素が上に偏っている状態です。
反対の「陰」は下部に関係するので、陰の働きが弱いことが上に偏る要因と考えられます。
陰と陽については、ブログ「陰と陽について」を参考にしてください。
以上から、内臓では
膀胱、腎、肝の働きに問題があるのかな、と推測できます。
陰陽では、
陽>陰のバランスとなっています。
五臓の「腎」は「陰中の陰」と表現され、陰と関係していますので、「陰の働きが弱い」ということは腎の働きが弱い、と考える事もできます。
心配事やストレスは、五臓の「心(しん)」に負担をかけます。
「心」は「陽中の陽」と表現され、陽と関係が深い内臓です。特徴として負担がかかると、さらに陽の要素が強くなる性質があるので、陽>陰のバランスを助長してしまいます。
その後に現れた、手のピリピリ感や胸のもやもや、動悸、腰痛について。
・手のピリピリ感
手の中指、薬指、小指に症状がでていました。
これらの指には、内臓「心包(しんぽう)、心(しん)、小腸」の経絡が通っています。
心包(しんぽう)は聞きなじみのない言葉ですね。
「心」を包む膜で、「心」と関係が深い内臓と考えてください。
小腸は「心」と関係が深い内臓です。
つまり、心配事やストレスが「心」に影響し、関係する内臓の経絡にも反応が出たと考えられます。
・胸のもやもや、動悸
これも「心、心包」が関係しています。
・腰痛
腰と関係が深い内臓は「腎」です。
腎は陰と関係が深く、心は陽と関係が深い五臓でしたね。
そして、心は負担がかかるとさらに陽が強くなる性質がありました。
陽が強くなり、相対的に陰が弱くなる=陰と関係が深い腎が弱くなる。
となり、腰痛という症状が出たと考えられます。
鍼灸施術では、
膀胱のツボ…腎兪(じんゆ)、委中(いちゅう)、跗陽(ふよう)
腎のツボ…陰谷(いんこく)、太渓(たいけい)
肝のツボ…太衝(たいしょう)
小腸のツボ…腕骨(わんこつ)
心包のツボ…内関(ないかん)
などに陰をしっかりさせ、余剰な陽をさばいていくような鍼をしていきます。
お灸は熱(陽)を加えることになるので、やりませんでした。
今は、薬を飲まなくても症状が軽くなってきています。
このように身体のいろんな症状があっても、それぞれを関連して捉えていく視点が、東洋医学の魅力ですね。
羽島市や岐阜市、大垣市で自律神経の不調にお困りなら、一度ご相談ください。
自律神経失調症のページにも詳細が書いてあります。