腰痛と生活習慣の関係について
当院では、鍼灸施術だけでなく生活習慣の見直し方についてもアドバイスしています。
先日、腰痛で来院された方(羽島市在住の女性)は立っていると痛くないが、座っていると痛くなるとのことでした。
どんなイスに座っているかたずねると、柔らかいソファーとのこと。
ふかふかのソファーは気持ちいいですよね(^_^)
でも、
腰には負担がかかるんです…。
例えば、
・硬い地面の上に立つ
・トランポリンの上に立つ
どちらが楽でしょうか?
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硬い地面ですよね。
柔らかいトランポリンの上で立とうとすると、全身の筋肉を使ってバランスを保たないといけません。
柔らかいソファーも似たようなもので、腰が沈むほど柔らかいと、座った姿勢を保つために腰まわりの筋肉が緊張した状態になります。
この状態が長時間続けば、腰に負担がかかります。
ですから、硬い座面のイスに腰かけた方が負担が少なくなります。
また、足を組む癖がありましたので止めていただき、甘いおやつを食べる習慣がありましたので、それも見直していただきました。
ここで、食べ過ぎと腰痛の関係についてご説明します。
東洋の昔の思想に、「五行(ごぎょう)学説」というものがあります。
これは、世界のあらゆることを、「木(もく)・火(か)・土(ど)・金(こん)・水(すい)」の5つの性質に分類し捉える世界観です。
例えば、「木」は植物が枝葉を広げ、上や外に伸びていく様子を現わしています。ここから、成長やのびやかといった性質が含まれます。
「火」はメラメラと火が燃えている様子です。ここから、温熱や上昇といった性質が含まれます。
このように、昔の人は自然界にあるものや現象から、イメージとして5つに分けました。
そして、この5つは互いに関係性をもっており、その一つに相克(そうこく)関係があります。
相克とは、互いに抑制・制約することをいいます。
五行の間では、
木は土を抑える
火は金を抑える
土は水を抑える
金は木を抑える
水は火を抑える
という相克関係があります。
分かりやすいのは、「水は火を抑える」→水は火を消す、ですね。
人も自然の一部ですので、人体も五行に当てはめることができます。
内臓を当てはめると
木…肝・胆
火…心・小腸
土…脾・胃
金…肺・大腸
水…腎・膀胱
となります。
先の相克関係に、「土は水を抑える」がありました。
これを内臓に当てはめると、「脾・胃は腎・膀胱を抑える」となります。
食べ過ぎると脾・胃が活発にがんばり、パワフルな状態となって腎・膀胱を抑え過ぎてしまいます。
その結果、腎・膀胱の働きに支障が出てしまうんですね。
各内臓には、それぞれ関係が深い身体の部位があります。
腎・膀胱は、腰、骨、歯、髪の毛
などです。
つまり、食べ過ぎ→脾・胃が過剰に活発→腎・膀胱を抑制し過ぎる→関係する腰に問題が現れる→腰痛となるのです。
生活習慣や癖は、すぐに止められるものではありませんが、意識していくと徐々に改善することができます。
毎回、施術の前に食事や生活についておたずねしていますが、それも意識付けしていただくためなんですね。
ここからは腰痛について、東洋医学的に考えてみます。
東洋医学では、腰痛の根本原因を「内臓の働きやバランスの問題」と捉えます。筋肉や骨が根っこの問題ではないんですね。
内臓の中でも特に重要なのが、「五臓-肝・心・脾・肺・腎」です。
そして、各内臓には関係が深い身体の部位があります。
肝-胆、膝、筋、爪
腎-膀胱、腰、骨、髪の毛
などです。
原因が何であれ「腰」が痛むときは、まず「腎」の働きに問題がないか?を考えます。
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症などでは、腰の「骨」の問題なので、腎(と膀胱)が関係します。
腰の「筋肉」の張りや痛みであれば、肝(と胆)も関係してくるわけですね。
また、鍼灸の考え方のベースには、「陰陽」の考え方があります。詳しくは「陰と陽について」を参考にしてください。
陰と陽の例を挙げると、
陽…熱、火、上、昼、動
陰…寒、水、下、夜、静
となります。
先ほどの五臓も陰と陽に分けることができ、腎は「陰中の陰」と表現され、とくに陰と関係が深い臓です。
つまり、「腎の働きの問題」は「陰の働きの問題」と捉えることができ、鍼灸施術では陰をしっかりさせること、が目的となります。
ちなみに、先ほどの方に甘いものを控えていただいたのは、甘いものは「陽」に分類されるためです。
ここまでを整理すると、腰痛は
内臓では、「腎・膀胱」や「肝・胆」が関係し、
陰と陽では、「陰」の働きに問題がある
となります。
(※実際には、他の臓との関係性もみて推察していきます。)
施術では、
膀胱・腎と関係するツボ…腎兪(じんゆ)、陰谷(いんこく)、委中(いちゅう)、太渓(たいけい)
胆・肝と関係するツボ…肝兪(かんゆ)、陽陵泉(ようりょうせん)、丘墟(きゅうきょ)、太衝(たいしょう)
などに鍼をしていきます。
※鍼灸施術について詳しく知りたい方は、施術についてをご覧ください。
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