ストレス反応を東洋医学で考える
今回は、ストレス反応を東洋医学的に捉えてみます。
生体にゆがみを生じさせるストレッサ―は、
1.外因
2.内因
3.不内外因
の3つに大別できます。
外因には、風・暑・湿・燥・寒・火の6つがあり、気候変化の異常が身体に影響したものをいいます。冷夏や暖冬もそうですし、夏の冷え過ぎた冷房、冬の暖房による暖め過ぎなども含まれます。
内因は、怒・喜・思・悲・憂・恐・驚の7つの感情が臓腑に影響したものをいいます。思い悩み過ぎて胃の調子が悪くなる、なんていう状態が当てはまりますね。
不内外因は、食べ過ぎ・飲み過ぎ、働き過ぎなど労働や飲食、休息にかかわるものです。なかでも久行、久視、久座、久臥、久立の五労(ごろう)と呼ばれるものは、それぞれが五臓に負担をかけますので、現代の生活で意識しておきたい要素です。
例えば、久視(きゅうし)は目を酷使することで、パソコンやスマホ、テレビなどを見続けると心(しん)に負担をかけます。久立(きゅうりつ)は長時間の立ち仕事のことで、腎に負担をかけます。
では、例として精神的にストレスがかかっている状態を考えてみます。
精神的な負荷が過度にかかると五臓の「心」に影響します。心(しん)は『君主の官』と呼ばれ、五臓の中でも王様的な存在です。王様である心が弱くなってしまうと生命にかかわるため、心は負担がかかると働きが弱くなるというより、過剰にがんばる性質があります。
心は「陽中の陽」と表現され陽の要素が強い臓ですので、ここが過剰にがんばると身体は陽に傾くことになります。
すると身体は、バランスを保つために陽を減らそうとします。
この状態を例えると、火が燃え盛っているので水をかけて鎮火するイメージです。この互いに抑制し合う関係を相克関係といい、水克火(すいこくか)と表現します。
ここで活躍するのが「腎」です。
腎は「陰中の陰」と表現され陰の要素が強く、体内の水(液体)と関係が深い臓です。燃え盛る火に水をかけて鎮火させるように、陽に傾いた身体を落ち着かせようと必死にがんばるわけです。
以上をまとめると
精神的な負荷→心に負担→身体が陽に傾く→腎ががんばってバランスを保つ
となります。
ただ、この状態が長期にわたれば次第に腎が疲弊していきます。そうなると陽>陰かつ、腎がしっかりと働かない状態となってしまい、めまい、動悸、耳鳴り、睡眠障害、自律神経症状などが出現するようになります。
このように現代の生活や病気においても、五臓や陰陽といった東洋医学の考え方を当てはめて考えていくことができます。