夏の養生法と鍼灸施術
暦では「立夏」から夏です。
夏は生長の季節で、中国の昔の書物『素問』には「夏は蕃秀(ばんしゅう)という。」と書かれています。
蕃秀とは、植物が生い茂ってすらりと伸びているイメージです。
周りを見回すと、樹木には葉が、地面には草が生い茂っています。
このように夏は陽気が盛んで、外へ外へとエネルギーが向かっていく季節です。
陽気のピークは6月の夏至までで、夏至を境に陰の要素が徐々に入ってきます(陽陰については、こちらを参考にしてください)。
陽には活動的な要素があるので、心身も活動的にして体内の気血の流れをめぐらせないといけません。
(気血はひとまず、エネルギーや栄養と考えてください。)
ただし、活動的に過ごすのは日中。
夜に運動したり、遅くまでテレビやスマホを観ていると良くありません。
夜は陰の時間帯だからです。
一年のスパンでみると、夏は陽が盛んな季節。
一日のスパンでみると、日中(正午前後)が陽が盛んな時間。
その時に活動的に過ごしましょう。
最近は新型コロナウイルスの影響により、外出を控える方が増えています。
そのため、太陽の光を浴びたり身体を動かす機会が減り、不調になりやすい時でもあります。
新型コロナウイルスに感染しないことは最優先事項ですが、日中ずっと部屋に閉じこもっているのも身体に悪いので、なんとも悩ましいところですね。
三密を避けて、上手に活動し太陽の光を浴びていただきたいなと思います。
ただし、過度に運動して汗をかき過ぎては逆効果ですので、ほどほどに(^_^)。
夏と関係が深い内臓は「心(しん)」です。
心は「陽中の陽」と表現され、負担がかかると陽の要素が強くなります。
陽が過剰に強くなると症状として、めまいや立ちくらみ、のぼせ、頭痛、肩こり、咳、動悸、かゆみなどの問題が出やすくなります。
陽を抑えるのは反対の「陰」です。
そして、陰と関係が深い内臓は「腎」です。
そのため、これらの症状に悩んでいる方の鍼施術では、腎をしっかりさせることがポイントになります。
腎と関係するツボに鍼をして腎の働きを補います。
それだけでなく、過剰な陽を抑えないといけません。
心と関係する内臓に「小腸」がありますので、小腸のツボを選択して過剰な陽をさばいていきます。
もちろんこれだけでなく、他の内臓との関係性をみて適切なツボにアプローチしていきます。
また、腎と関係が深いのは膀胱、腰です。
腰痛持ちやぎっくり腰を経験している方は要注意。
腎の働きが弱っているかもしれません。
腰痛についてはこちらに詳しく書いています。
膀胱の経絡(けいらく)は、背中~おしり、ふともも、ふくらはぎをめぐります。
そのため、腰痛だけでなくふくらはぎが痛くなったり、こむら返り、首や背中の痛みなども関係してきます。
経絡って何?という方は「鍼灸施術について」も参考にしてくださいね。