ピキッとなる背中の痛み
事例-岐阜県羽島市在住、女性
「朝、物を取ろうとしたら背中がぎっくり腰のように、ピキッとなり激痛が走った。
こんな痛みは初めて」
と来院されました。
他の症状をお聞きすると
イライラ
目の渇き
肩こり
胃の不快感
などがあります。
過去に膀胱炎や腎盂腎炎にかかったことがあり、腰痛にも悩まされていたそうです。
これらをふまえて、なぜ背中に痛みが出たのかを考えてみます。
東洋医学には、陰陽の考え方があります。
例として
陽…上、昼、熱、火、動
陰…下、夜、寒、水、静
といった感じです。
くわしくは、「陰と陽について」を参考にしてください。
イライラしている状態をイメージすると、頭から湯気が出ていたり顔が赤くなっている映像が浮かびませんか?
湯気が出ていたり赤くなっているのは、熱(陽)の状態です。
目が渇くのも、潤いがない状態ですので「陽」ですね。
肩こりは、筋肉を潤すことができず柔軟性がないと考えることができるので、これも「陽」。
胃の不快感、だけではどちらとも言えませんが、常用している胃薬の副作用には「発疹、かゆみ、便秘、口渇」などが書かれていました。
これらの症状は、すべて「陽」になりますので、胃薬を飲み続けることで陽の状態になりやすい、ということが推測できます。
肩や背中は、身体の上部にありますので、位置的にも「陽」です。
これらのことから、
身体の状態が陽>陰
になっていることが分かります。
過去に膀胱炎や腎盂腎炎にかかっていますが、「炎」の文字は「火」が二つ。
このことからも、陽に傾きやすい身体ということが分かります。
生活についてみてみると、
お風呂に長くつかるのが好きで、ほぼ毎日お酒を飲むそうです。
これらは、どちらも身体を温める働きがありますので「陽」です。つまり、この生活習慣を続けていると陽を助長することになり、身体のバランスは変わらないことになります。
まとめると、身体が陽>陰の状態のために筋肉を潤すことができず、「陽」の部位である背中に痛みが出たと考えられます。
そのため
余剰な陽(熱)をさばいて陰をしっかりさせる
ことが施術の方針になります。
鍼施術はツボ(経穴)にアプローチします。
各ツボは内臓とリンクしており、内臓にも陰と陽があります。
陽の内臓と関係するツボには熱をさばくような刺激を加え、
陰の内臓と関係するツボにはしっかり働かせるような刺激を加えます。
鍼には、さばく手技(瀉法-しゃほう)としっかりさせる手技(補法-ほほう)がありますので、これらの手技を駆使して、身体のバランスを整えていきます。
加えて、生活習慣を見直していくことが大切ですね。
ここからは、少し専門的なお話しです。興味のある方は参考にしてください。
ツボは内臓とリンクしている、と書きました。
そのため、鍼施術においては
どの内臓に問題があるか?
を把握しないと、どのツボを選択すればいいかが分かりません。
背中には膀胱の経絡(けいらく)が通っています。
経絡とは、身体を流れる氣血の通り道で、それぞれ内臓とつながっています。氣血というと分かりにくいので、エネルギーや栄養だと考えてください。
内臓の働きに問題があると、関係する経絡の通り道に症状が出ることがあります。
そのため、経絡という側面から捉えると、背中の痛みは膀胱の働きに問題があるのかな?と推測します。
また、内臓にも陰と陽があると書きました。
膀胱と関係が深い内臓に「腎」があり、膀胱は「陽」で腎が「陰」となります。
この方は、過去に膀胱炎や腎盂腎炎にかかっていましたね?
このことからも膀胱と腎がキーになっていることが分かります。
実際の鍼施術では、
膀胱のツボ…委中、腎兪
腎のツボ…陰谷、太渓
などに鍼をしていき、身体のバランスを整えていきます。
鍼灸施術についての詳細ページも参考にしてください。