立ち仕事と腰痛の関係
立ち仕事で悩まされるのが、足のむくみと腰痛です。
立つ姿勢、ハイヒール、長時間の同一姿勢
などが原因といわれます。
ここでは、東洋医学的に考えてみます。
古代中国では、労働の種類を5つに分類しました。
久行(きゅうこう)、久視(きゅうし)、久座(きゅうざ)、久臥(きゅうが)、久立(きゅうりつ)
の5つで、五労(ごろう)といいます。
その一つ、「久立」
が立ち仕事のことです。
適度に立って動くことは大切ですが、長時間の立ち仕事となると身体に負担をかけてしまうんです。
五労は、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓とそれぞれ対応しており、久立は「腎」と深い関係にあります。
つまり、
長時間の立ち仕事は「腎」に影響する
と考えたわけです。
腎と関係する身体の部位は、
腰、骨、歯、髪の毛、膀胱
などですから、腎に負担をかけて働きを悪くすれば、
これらの部位にも影響してきますので、腰痛も出てくるでしょう。
「腰は腎の府(ふ)」
という言葉があります。
府には、しまう蔵、集まる所、といった意味がありますので、
「腰は腎のいるところ」
といった感じでしょうか。
このように、腎と腰は深い関係があるのです。
骨とも関係していますので、
腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症なども関係してくるでしょう。
膀胱と関係するのは、現代医学とも共通しますね。
古代中国では、腎や膀胱などの内臓とつながっている経絡(けいらく)が、身体の中を流れていると考えました。
経絡って何?という方は、鍼灸施術についてのページを参考にしてください。
膀胱とつながっている経絡は、
目の内側→頭をのぼって後頭部→首・背中・腰・おしり→もも・ふくらはぎの後ろ側
を流れていきます。
そのため、ハイヒールをはいて常にふくらはぎが緊張した状態ですと、ここを通る経絡を通して腰にも影響します。
また、腎は「陰中の陰」と表現され、身体の水の源となる臓です。
そのため、腎に負担がかかると身体の水はけが悪くなり、むくみとなって現れます。
このように、立ち仕事によって関係する「腎」に負担がかかり、
腎と関係する、腰や水はけ、膀胱(の経絡)などに影響が出てきます。
腰痛についてはこちらのページも参考にしてください。
しかし実際には、身体への影響はこのように単純ではなく複合的なものです。
鍼灸施術では、腎への影響を視野に入れつつ、他の影響も考慮します。
食事の内容はどうか?
睡眠はどうか?
パソコンやスマホの視聴時間は?
精神的なストレスは感じているか?
便通はあるか?
などなど。
立ち仕事=腎にだけアプローチすればいい、
というものでもなく、その方の状態を多面的に捉えていかないと、見立てを誤ってしまいます。