便秘や寝つきの悪さなど不定愁訴の原因
「やる気が起こらない、便通が悪い、寝つきが悪い」
と訴える方がいらっしゃいました。
一般的に自律神経失調症が疑われる症状ですね。
なぜこれらの症状が起こるんでしょうか?
鍼灸施術の考え方のベースには「陰陽」の概念があります。
陽…熱、火、天、昼、夏、動、気
陰…寒、水、地、夜、冬、静、血
といった感じですが、詳しくは「陰と陽について」を参考にしてください。
さて、
やる気が起こらない状態は、動か静かでみると「静」ですので陰。
寝つきの悪さは、寝る=休めるという陰のことができないので陽。
便通の悪さは、陰とも陽ともとれる状態です。
この方は、外出自粛要請が出ていたこともあり、ほとんど家の中にいて身体を動かしていない生活を送っていました。
この記事を書いているのは2020年の5月で、立夏を迎えていますので、季節は「夏」です。
夏は陽の要素が強い季節ですから、体をある程度動かして気血を巡らすこと、発散させること(陽)が大切な時期です。
その時に家にじっとしていたわけですから、気血の巡りが悪い状態だったと推測できます。
巡りが悪いので滞りやすくなり、便通も悪くなります。気が巡らないのでやる気も起きません。
発散させることができないので、気が身体のなかにこもります。気は陽に分類されるので、それがこもるということは身体が陽に傾く、というわけですね。結果、夜になっても眠たくなりません。
このように、季節と合っていない生活を送ると、さまざまな不調が出やすくなります。
この方には、気血をめぐらし発散させるために、家の近所をぶらぶら散歩することを提案しました(もちろん、三密を避けながら)。
後日、身体を動かした日は睡眠も便通も良い、と報告してくれました(^_^)
ただし、ぶらぶら散歩と筋トレは違います。
ぶらぶら散歩はあくまで、身体を動かして気血を巡らしたり陽を発散させることが目的です。
筋トレは筋肉に負荷をかけることになり、身体へのダメージが大きくなるので注意が必要です。
もちろん、生活習慣についてアドバイスするだけでなく、鍼灸施術も行いました。
鍼灸ひののきの施術の方針は、東洋医学の考え方に基づき、症状の根本原因を「内臓の働きやバランスの問題」と考えます。
この方は、上記の症状以外にむくみを気にしていました。
むくみは水分代謝の問題と筋肉が関係します。
(脚の筋肉が収縮することで、ポンプのような働きをして水を上部に押し上げています。)
身体の水と深い関係にある内臓は、「腎」です。
そして、腎は大小便とも関係があるため、便通の悪さともつながります。
また、寝つきの悪さは、「肝」の働きが悪いと起こることがあります。
肝は「筋」と深い関係にありますので、筋ポンプの問題が該当します。
このことから、腎と肝がしっかりするように
腎と関係するツボ…腎兪(じんゆ)、陰谷(いんこく)、太渓(たいけい)
肝と関係するツボ…肝兪(かんゆ)、太衝(たいしょう)
に鍼をしていきました。
また、身体が「陽」に傾いていたので、
膀胱と関係するツボ…委中(いちゅう)、跗陽(ふよう)
胆と関係するツボ…懸鍾(けんしょう)、陽陵泉(ようりょうせん)
などから陽を取り除きました。
このように内臓と陰陽を考慮しながら、鍼をしています。