腰の問題と脚のしびれ
背骨の腰の部分(腰椎)に問題がある代表的な病気には、
・腰椎椎間板ヘルニア
・腰部脊柱管狭窄症
・腰椎すべり症
などがあり、耳にする機会も多いのではないでしょうか?
【腰椎椎間板ヘルニア】
腰椎と腰椎の間にある椎間板から、髄核(ずいかく)と呼ばれるものが飛び出ることで神経を圧迫し、痛みやしびれが生じます。
【腰部脊柱管狭窄症】
脊柱管とは、背骨の中にある神経や脊髄(せきずい)の通り道のことです。
この通り道が何らかの原因によって狭くなることで、神経を圧迫し、痛みやしびれが生じます。
【腰椎すべり症】
腰椎がずれることで脊柱管を狭くし、神経を圧迫することで痛みやしびれが出ます。
脊柱管を通る神経を圧迫すると、脚に痛みやしびれが出るだけではなく、残尿感や頻尿、便秘など大小便の問題が出現することもあります(膀胱直腸障害と呼ばれます)。
以上、めちゃくちゃざっくりとした説明ですが、これらに共通するのは、
・腰椎(背骨の腰の部分)に何らかの問題がある
・腰の痛みだけではなく、脚に痛みやしびれが生じる
・大小便の問題が出ることがある
ことが挙げられます。
これらの腰の問題から出てくる諸症状について、東洋医学的に考えてみます。
東洋医学では、さまざまな身体の問題の根本を
“内臓の働きやバランスに問題があるため”と考えます。
内臓の中でも特に重要なのが、「肝・心・脾・肺・腎」の五臓です。
そして、五臓にはそれぞれ関係が深い身体の部位があります。
今回、キーワードとなる
「腰椎」「脚の痛み・しびれ」「大小便の問題」
と関係する内臓は
『腎』
です。
腎と関係する身体の部位には、腰、骨、髄、歯、髪の毛、膀胱、尿道、肛門などがあるので、腎の働きに問題があると、これらの部位に何らかの症状が出ることがあるんですね。
つまり、
「骨・髄」と関係するので、腰椎や脊髄に問題が…。
「膀胱・尿道・肛門」と関係するので、大小便の問題が現れます。膀胱直腸障害では、肛門周囲に熱感が出ることもあるので、これも当てはまりますね。
あれ?脚の問題がないじゃない?
と思いますよね…。
ここは少し複雑で、腎と関係する『膀胱』が関係します。
各内臓には、それぞれ氣や血(エネルギーや栄養と考えてください)の通り道がつながっていて、これを「経絡(けいらく)」と呼びます。
膀胱の経絡は、顔から頭、背中、腰、脚の裏側へと流れていきますので、この通り道に問題が出やすいんですね。
「坐骨神経痛」は、まさにこの通り道上に問題が出ています。
ということで、腰の問題やそれに付随する症状が出ているとき、
その根本である内臓「腎・膀胱」の働きに問題がないか?
を考える必要があります。
痛み止めやシップが、その場しのぎになってしまうのは、こういった理由からです。