疲労のせいと言われた首の痛み
岐阜市在住の女性。
痛みで首を前後に倒すことができず、整形外科に通院している方が来院されました。
以前にも同じような痛みを経験していて、レントゲンを撮ったら頸椎(首の骨)の間が狭くなっており、動きが悪くなっていると指摘されたとのこと。
痛みや炎症を抑える注射をほぼ毎日打っているが、効果はあまり実感できていない…。
医師に原因を聞くと、疲れがたまったからかも、と言われたそうです。
この方は、ビタミン剤や睡眠導入剤、吐き気止めなど十種類近くのお薬を服用しています。
自炊するのが時間的に難しく、食事は買ってきたものやプロテインで済ませているようで、なおかつ仕事がハードでストレスを感じており、寝付けないなど睡眠の質も悪いようです。
この方のお身体の状態を、東洋医学的にみてみます。
東洋医学では、内臓(五臓六腑)の働きや相互関係のバランスの問題が、さまざまな症状の根本原因と考えます。
五臓六腑の中でも、肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)の五臓が特に重要で、各臓には関係が深い身体の部位があります。
例えば、腎と関係が深い身体の部位は、
骨、腰、脳、歯、髪の毛、膀胱などです。
この方は、首の“骨”に問題があると指摘されましたので、根本原因である内臓は「腎」が疑われます。
では、なぜ「腎」の働きに問題が出たのでしょうか?
陰陽の考え方を基に考えてみます。
陰陽の考え方は、世界のあらゆる事物と現象を2つの軸で捉えたもので、陰と陽が変化しながら互いにバランスを取ることで平衡状態を保っています。
例えば
陽…昼、夏、熱、動、上
陰…夜、冬、寒、静、下
などです。これは自然界だけでなく
陽…頭、背部、左、男
陰…足、お腹、右、女
と人にも当てはめて考えることができます。
腎は「陰中の陰」と表現されるように、陰と関係が深い臓です。
陰は、夜睡眠を取ることで養われますが、この方は睡眠の質が悪いため陰がしっかりと養われていないようです。
さらに、過度なストレスは「心(しん)」に負担をかけ、身体のバランスを陽>陰に傾けますので、さらに陰が足りない(腎がしっかり働けていない)状態となっています。
また、多くの薬やサプリを服用していると、「肝」や「腎」に負担をかけます。
これらの事から、身体のバランスは
陽>陰となっており、内臓では陰と関係が深い「腎」の働きに問題があるため、身体の部位では骨に症状が現れたと考えられます。
そのため、腎の働きをしっかりさせ、陰陽のバランスを整えるような施術をするとともに、食事の量や内容、休みの日の過ごし方など生活習慣の見直しにも取り組んでいただいています。