腰痛対策に、ツボを押すor押さない?
セルフケアにどんなことをしていますか?
手軽にできることの一つに「ツボ押し」があります。
「腰痛に効くツボ」
「肩こりに効くツボ」
など、本やテレビなどでいろいろ紹介されています。
が、鍼灸ひののきでは「ツボ押し」をおすすめしていません。
それは、ツボへの刺激量が適切かどうかの判断が難しいからです。
これは目分量で料理を作るようなものです。
僕は時々料理を作りますが、ハッキリ言ってド素人です(;^_^)
レシピを見ながらでないと作れません。
毎回ネットや本で調べるわけですが、その時必要なのは材料と手順、使用量です。
しょう油や塩をどのくらい入れればいいか、量が書いてあればその通り入れればいいだけなので、大きな失敗はありません。
しかし、材料と手順は書いてあっても量が書いてないと、手探りです。
料理の経験が少ない僕には、失敗の確率がグンと上がります。
料理は失敗しても、「まずかった…」
で済みますが、ツボ押しで過剰な刺激を加えて身体を壊してしまったら、元も子もありません。
適切な刺激量というのは、人により、また体調により異なります。
そしてやっかいなのが、目に見えないことです。しょう油や塩のように何グラムと計測できれば簡単ですが…。
僕を含め、鍼灸師が施術の前後に脈診をするのは、鍼の効果をみるためです。
刺激量を数値化することは難しいですが、脈をみたり肌に触れて感触を確かめたりすることで、刺激が適切だったかどうかを判断します。
鍼灸が経験の医学と言われるのも、こんなことが一因でしょうね。
ツボは正式には経穴(けいけつ)と呼び、それぞれ内臓とつながっています。
ということは、ツボへの刺激が内臓に悪い影響を与えてしまうこともあるわけですから、結構こわいことです。
※ツボと身体の関係については、「施術について」をご覧ください。
また、鍼灸施術には「補法(ほほう)」と「瀉法(しゃほう)」という技法があります。
補法とは、足りないものを補うときに使う方法です。
例えば、胃の働きが悪いから胃の氣を補う…といった感じで使います。
瀉法は、余剰なものを取り除くときに使う方法です。
身体に熱が多い状態であれば、余剰な熱を取り除くために行います。
ただツボに刺激を加えればいいのではなく、
どのツボに、どのくらいの刺激で、補うor取り除くのか?
がポイントです。
腰痛といっても、人によってその原因は異なります。
ストレスや姿勢、生活習慣などが誘因となり、内臓の働きやバランスが悪くなり、その結果として腰痛というサインを出しています。
どの内臓やバランスが悪いのか?
また、昨日痛めたのか10年以上痛いのか、も人によりまちまちです。
したがって、人により選ぶツボや刺激量は変わってきます。
腰痛だから、このツボ!
という訳にはいかないんですね。
ツボ押しは簡単そうで、実は奥が深い方法だと思います。